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やま猫SOMETIMES

2009年に亡くなった漫画家・エッセイスト、やまだ紫のブログを移植しました。

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新幹線日記 6

T細胞性リンパ性白血病について、こんな夜中に。

連れ合いがその病気と戦っている。正確にはまだはっきり病名が決定できないほどめずらしいタイプの白血病、血液の癌です。一昨年の初夏に健康診断でひッかかった、病院で宣告を一緒に聞いたとき,驚きすぎて眼をみひらいたまま涙がボロボロおちた。余命宣告まで受けた、一年持てば…、と。
その一年は過ぎたけれど彼の病気に効果がみとめられそうな抗癌剤が見つかっていない、なにも治療らしいことは無く自宅でゆっくりしている。それでも仕事は在宅でできているので無理のないていどにしている。
その一年のあいだに沢山すぎる出来事があった。私は仕事をする気持ちを失い二度吐血で入院した、輸血が必要なほどの大量吐血だったにも関わらず、胃も腸も出血したあとがみつからない。連れは自分の病気で死に直面しどんなに絶望しているかわかっているのに私もどんどん落ち込んで、しまいに水を飲むのもめんどうになっていった。どんどん痩せ、どうせ死ぬ、と自暴自棄でもないぼんやり仕方ないと思って居た。連れがおかしいと思っており、連絡して姉に伴われて「診療内科」へ連れて行かれた。「鬱」のドつぼだった。次の年には大学の先生に招かれていたが、ここまできたらどこかで野たれ死にしたってかまうものかと覚悟をした。新幹線の中で吐血して公共の場で世間の皆様にご迷惑をかけるかも知れないが、後進の指導の機会を与えられたことを天職と感謝した。
「抗鬱剤」は三ヶ月ほどで少しずつ効果を表し、一番気になっていた連れの身体の為の料理が出来るようになた。こんな時にこんな自分であることが申し訳がないという思いにさいなまれてはいたが、仕事にめぐまれながらやる気が出ない苦しみからも少しずつ上向きになってきた。大学に通いだした頃には気分はすっかり改善していたが、その反面体力が衰えていた。そして一年経った今、現在は体力も気力も不思議なほど改善されてきている。連れの病気以外は。
それでもこの一年、私達は以前より良く笑い、食べ、安全に暮らせている。彼は家の中ばかりにいると体力が年寄りになるので、たまにオフシーズンの京都などでゆっくり散歩に伴う。実は今回もおいしい物といい気分を味わうため連れ立った、がたった二泊三日の最後に気分が悪くなり、嘔吐と下痢で朝ホテルから新幹線に直行して帰宅することになってしまった。悪いものでも食べたか、それとも風邪なのかは不明だ。帰宅してからもぐったりして微熱が続いている。健康な人にはなんでもないことが彼にとっては命取りになる。
連れ合いも自分も「死」と向き合っている、そんな状況のなかで猫を抱きしめて幸せをもらい、小さなギャグにつまづいて腹がよじれるまで笑って日々を送れるまでになった、お互いにどうしても相手を失うものかと手を取り合っている。嫌なこともある、そんな時以前なら我慢をして黙って通りすぎてきた、けれど自分達が生きている現在「不条理な我慢」はストレスを招くだけだとわかってきたので、近年は思い切って理不尽なことには「怒る」事にした。
昨年は仕事上の付き合いである人と対立した。その人の自分への言動が、どう考えても非礼で看過できなかったからだ。以前なら、ヘラヘラと笑って済ませていたと思う。以前は怒る勇気がなかっただけなのだ、と思う。
連れの様子が気になって眠れない夜でした。
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